平出宿(辰野町)概要: 平出宿は岡谷街道の宿場町で諏訪や甲州街道へも繋がる交通の要所でした。宿場には旅籠や木賃宿、他、高遠藩(藩庁:高遠城)の藩主の休息所も整備され、文久2年(1862)の記録では家屋132戸、人口547人を数えたそうです。名実共に周辺の中心地として発展しましたが明治39年(1906)の中央線辰野駅の開設と明治42年(1909)の伊那電気鉄道の開設により次第に交通の利便性が薄れて中心も下辰野に移っていきます。又、幕末には水戸天狗党がこの宿で休息し昼食をとった事でも知られています。天狗党は和田峠で松本藩(藩庁:松本城)・諏訪藩(高島藩・藩庁:高島城)を撃破し平出宿に入りましたが待ち構えていた高遠藩は戦わずして陣を引いた為、周辺では戦が行われなかったそうです。それでも宿場では老幼婦女を避難させるなど混乱が起き大騒ぎになったと伝えられています。現在は道路の拡幅工事などで旧観が損なわれていますが、所々に伝統的な町屋建築や本棟造りの民家が見られます。
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