上田市: 中禅寺

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概要・歴史・観光・見所
中禅寺(上田市)概要: 龍王山中禅寺は長野県上田市前山に境内を構えている真言宗智山派の寺院です。中禅寺の創建は平安時代初期の天長年間(824〜834年)、伝承によると平安時代に当地方で大干ばつが発生した際、名僧として知られていた弘法大師空海(真言宗開祖)がが雨乞いの祈祷をする為に独鈷山(1266.3m)山頂付に草庵(護摩壇)を結んだのが始まりと伝えられています。独鈷山の由来となった「独鈷」も密教で使う仏具を示唆する事からも密教や修験道が盛んだった事が窺え、伝承では空海が山頂に独鈷杵を埋めた事から独鈷山と呼ばれるようになったとも云われています。

独鈷山は当地方の水源で山姿や山頂に奇岩怪石が多く妙義山(群馬県甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置する霊山で、上毛三山、日本三大奇景)に似ている事から「信州の妙義山」の別称があり信仰の対象となっていました。独鈷山周辺は塩田平の水源地として古くから信仰の対象となり、独鈷山を信仰の起源とするのは中禅寺だけでなくに塩田平に境内を構える前山寺や塩野神社も同様で信仰の深さと広がりが感じられます。

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて安然坊と呼ばれる修験僧が独鈷山の麓に信仰の拠点を設ける為、中禅寺境内を現在地に移し事実上の開山、現在残されている薬師堂や仏像などもこの時期に整備されたと推定されています。又、境内に建立されている石造五輪塔も鎌倉時代のものである事から平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて創建され境内や堂宇が整備されていたものと思われます。

その後は初代鎌倉幕府将軍の源頼朝や塩田地方で大きな影響力があった塩田北条氏などの帰依により寺運が隆盛しましたが、永享年間(1429〜1441年)、寛文5年(1665)、享保5年(1720)などの火災で残されている堂宇や仏像以外の記録や寺宝が焼失しそれ以前の詳細が不詳になっています。中禅寺の歴史が明確になるのは江戸時代中期以降の事で、享保19年(1734)に祐精法印が中禅寺を中興開山し現在の本堂を建立しています。中禅寺の境内周辺は鎌倉時代後期に塩田北条氏が支配した塩田平と呼ばれる地域で、中禅寺をはじめ、前山寺安楽寺北向観音などの社寺が点在し信州の鎌倉と呼ばれ多くの観光客が訪れています。

現在の中禅寺薬師堂は鎌倉時代初期に建てられた阿弥陀堂建築(国宝である中尊寺金色堂や白水阿弥陀堂が有名)で方三間(桁行3間、梁間3間)、宝形造、茅葺で頂上には露盤・宝珠を設え格式ある意匠にする一方軒裏は質素な造りにして、外壁は横張りの板戸で正面に3箇所、残りの3方に1箇所づつ扉が付いています。内部中心には4本の柱で内陣を形成し、その中に須弥壇を設け本尊である薬師如来像を安置、須弥壇の位置も中尊寺金色堂(岩手県平泉町)に類似する点が多く平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて建てられた阿弥陀堂建築をよく表しています。中禅寺薬師堂は長野県最古の木造建築物だけでなく中部日本最古の御堂建築とされ昭和11年(1936)に国指定重要文化財に指定されています。

中禅寺薬師堂の本尊である木造薬師如来座像は平安時代末から鎌倉時代初期の定朝様式を伝えるもので寄木造、桂材、像高97.8cm、脇侍である木造神将立像(元は十二神将の一将として12体あったと推定されています)は寄木造、檜材、像高68.2cm、両像共に大正12年(1923)国指定重要文化財に指定されています。正面仁王門内部に安置されている中禅寺木造金剛力士立像(右側:阿形・左側:吽形−共に像高207cm)は後白河法王や平清盛の発願により製作されたと伝わるもので醍醐寺(京都府京都市伏見区:国重文)や峰定寺(京都府京都市左京区:国重文)に安置されているものと同様に平安時代後期様式の特徴があることから12世紀末頃制作されたと推定され、全国的に見ても当時代の制作された数少ない金剛力士像として平成13年(2001)に長野県県宝に指定されています。

中禅寺薬師堂の背後に建立されている五輪塔(安山岩製)は鎌倉時代に制作されたと推定される石造物で、総高155cmは五輪塔としては、舞田石造五輪塔(上田市舞田金王:総高212cm)、下塩尻石造五輪塔(上田市下塩尻:総高166cm)に次ぐ上田市第3位の規模を誇る大きなもので名称「中禅寺石造五輪塔」として昭和48年(1973)に上田市指定文化財に指定されています。中部四十九薬師霊場第3番札所。信濃乃國塩田平札所霊場第10番札所。山号:龍王山。宗派:真言宗智山派。本堂本尊:地蔵菩薩。

中禅寺の文化財
・ 薬師堂−鎌倉初期−宝形造、茅葺、桁行3間、梁間3間−国指定重要文化財
・ 木造薬師如来座像−平安末〜鎌倉初−像高97.8cm−国指定重要文化財
・ 木造神将立像−平安末〜鎌倉初−像高68.2cm−国指定重要文化財
・ 木造金剛力士立像−平安末〜鎌倉初−像高207cm−長野県県宝
・ 石造五輪塔−鎌倉時代−高さ155cm−上田市指定文化財

【 参考:サイト 】
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板
・ 現地案内板-上田市教育委員会

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