薬師堂(鹿教湯温泉)概要: 薬師堂の創建は不詳ですが、全国の温泉地で薬師如来を祀っている例が多く、薬師如来=医薬の神=大国主命又は少彦名神=温泉神と考えられていたようです。薬師如来は医薬の神、温泉の神である為、鹿教湯温泉関係者や湯治客などから信仰され、病傷回復の祈願や、病傷平癒の感謝の意で草鞋や草履を奉納しました。御堂は寄棟、茅葺、妻入、間口2間、奥行2.5間、外壁は素地造、正面には花頭窓が設けられ小堂ながら気品のある建物となっています。内部に薬師如来と共に安置されている仁王像(阿形・吽形)は当地では疫病が流行った時に運び込まれたと伝わる像ですが、上田市真田町にあった白山寺では鹿教湯温泉にある文殊堂に移されたと伝えられています。白山寺は同町に鎮座する真田家の崇敬社だった山家神社の別当寺院でしたが明治時代初頭に発令された神仏分離令とその後に吹き荒れた廃仏毀釈運動により廃寺となり仏像や仏具などが他所に移されています。薬師堂の仁王像が白山寺のものかは分かりませんが、歴史が感じられる像である事は間違いありません。
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