郷福寺(塩尻市)概要: 桔梗山郷福寺は長野県塩尻市大字広丘郷原に境内を構えている高野山真言宗の寺院です。郷福寺の創建の不詳ですが古くは桔梗ヶ原池の坊の地にあったとされます。天文年間(1532〜1553年)の武田氏の兵火により多くの堂宇や寺宝、記録などが焼失し一時衰退しますが慶長17年(1612)、憲快法師によって再興され寺号を郷福寺と改めて現在地に移ります。
文政4年(1821)の郷原宿大火に類焼し焼失し文政6年(1823)に庫裏を嘉永7年(1854)に本堂を再建し薬師堂、総門などが随時整備されました。現在の本堂はその当時のもので寄棟、鉄板葺、平入、桁行8間、外壁は真壁造、白漆喰仕上げ、大工棟梁は木曽福島出身で斉藤常吉(名工立川和四郎の弟子)、明治13年(1881)の明治天皇御巡幸で郷原宿を通過した際には御小休所として利用されています。
郷福寺境内の芭蕉句碑は安永4年(1775年)10月12日に五尺菴青柳露白(郷原宿の住民、俳人、漢方医、)によって建てられたもので、元禄2年(1689)、松尾芭蕉が奥の細道行脚の折、黒羽(栃木県大田原市)から殺生石(栃木県那須町の那須湯本温泉にある伝説の石:九尾の狐が石に封じられても悪行を働いた為、玄翁和尚により石が粉砕された)を見学に行く途中で読まれた「野を横に馬曳む計よ郭公」の句が刻まれています。
又、境内には郷原宿で3箇所あった井戸の1つがあったとされ"郷原の区画割と古井戸"として昭和45年(1970)に塩尻市指定史跡となっています。山号:桔梗山。宗派:高野山真言宗。本尊:大日如来。筑摩三十三番観音札所第26番札所(札所本尊:聖観世音菩薩・御詠歌:きり雲の たちかさなるは 雪の山 見はらし給え 大悲観音)。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(縁起)-桔梗山郷福寺
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