智識寺(千曲市)概要: 清源山智識寺は長野県千曲市大字上山田に境内を構えている真言宗智山派の寺院です。智識寺大御堂の創建は天平12年(740)に開山されたと伝わる古刹で大同2年(807)には坂上田村麻呂が堂宇を改修したという伝承も残っています。源頼朝も篤く信仰し祈願所に定めると建久9年(1209)には七堂伽藍を建立し仁王像を寄進しています。室町時代に入ると周辺一帯を支配した村上氏の庇護となりますが武田氏に滅ばされ一時衰退し、別当寺院だった法華寺は天正11年(1583)に屋代氏の命で屋代に移され、代って智識寺が別当となり、慶長14年(1609)に当初あった冠着山から現在地に移しています。江戸時代に入ると歴代松代藩主から庇護され文政年間(1818〜1830年)には大御堂の修復を行っています。
智識寺は寺宝も多く本尊である十一面観音像は平安時代後期に行基菩薩(平安時代の高僧)が自ら彫り込んだと伝わる仏像で像高306p、一木造(1本の木から削り出されている立木観音像)、欅材、昭和12年(1937)に国指定重要文化財に指定されています。木造地蔵菩薩立像は享保年間(1716〜1735年)、本尊の脇侍として彫刻されたもので像高159cm、桧材、寄木造、玉眼、素地、昭和62年(1987)に千曲市指定有形文化財(彫刻)に指定されています。木造聖観音菩薩立像は平安時代の12世紀に彫刻されたと推定されるもので像高168cm、桧材、寄木造、素地、昭和62年(1987)に千曲市指定有形文化財(彫刻)に指定されています。木造釈迦如来座像は室町時代後期に彫刻されたと推定されるもので像高158cm、桧材、寄木造、漆箔、彫眼、昭和62年(1987)に千曲市指定有形文化財(彫刻)に指定されています。
智識寺の大御堂(本堂)は、天文10年(1541)に再建されたもので寄棟、茅葺、桁行四間、梁間三間、禅宗様式の仏堂で当時の様式を継承する貴重な建物として明治40年(1907)に国指定重要文化財に指定されています。仁王門も室町時代に建立されたもので寄棟、茅葺、三間一戸、桁行三間(5.5m)、梁間二間(3.3m)、両側には木造金剛力士立像(阿形像:像高2.15m・檜材・一木造・吁形像:像高2.1m・檜材・一木造・室町時代制作)を安置し千曲市有形文化財に指定されています。山号:清源山。宗派:真言宗智山派。本尊:十一面観音。
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