旧中村家住宅(大町市)概要: 旧中村家住宅は長野県大町市美麻に屋敷を構えている古民家です。中村家は慶長19年(1614)に土着してから力をつけ、初代彦左衛門が本百姓として認められ、2代目彦右衛門は組頭、3代佐五右衛門は庄屋となるなど影響力を持ち、その後裔も村役人を歴任しました。現在の主屋は元禄11年(1698)に建てられたもので桁行14間(25.5m)、梁間6間(10.9m)、建坪84坪(約278u)と大型で屋根は茅葺、寄棟、直屋形式で千見村出身の九平が大工棟梁として建築を手懸けています。平面は下手半分が土間と厩で上手には、居間、寝間、客間で構成され奥座敷の床が妻側に向き当初は居間も土座(土間に茣蓙を敷いた室)といった古式の形式、構造が見られます。
旧中村家住宅土蔵は6代武左衛門の代の安永9年(1790)に建てられたもので土蔵造2階建て、切妻、茅葺、桁行6間、梁間4間、佐野村出身の政右衛門が大工棟梁として建築を手懸けています(近年、道路拡幅工事の為に同一敷地内から現在地に曳き屋移築されています)。建築年代が明確な土蔵建築の中では長野県内でも古いほうにあたり、仕上げも中塗り仕上げと質素で古式の工法を継承しています。旧中村家住宅の主屋も中村家に伝えられている「年代記」によって建築年や棟梁などの詳細が記され、建築年代が明確な民家としては長野県最古の大変貴重な存在であることなどから、敷地内にある土蔵と共に平成9年(1997)に国指定重要文化財に指定されています。
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