【 概 要 】−専念寺(長野県塩尻市奈良井)は天文元年(1532)、領主である木曽義在により創建された寺院で、翌年となる天文2年(1534)には奈良井宿を宿駅と定めている事から木曽家にとって重きのある寺院だった事が窺えます。江戸時代に入ると、木曽氏の一族で家臣筋だった山村家が木曽代官に抜擢された事で、専念寺も山村家の庇護となり、山村家から専念寺に輿入れした姫が輿入れの際に利用されたと伝わる駕篭が寺宝として残されています。奈良井宿は宿場の規模は木曽路最大だったものの、旅籠などの宿泊施設は際立って多くなかった為、専念寺は本願寺の門跡や関係者等から休息や宿泊所として利用され、境内には格式の高い御殿(座敷)が用意されていました。本尊の阿弥陀如来像は木曽義元の菩提寺である西光寺に安置されていましたが、西光寺が廃寺になると、木曽氏の本拠があった上ノ段の善性寺に遷され、善性寺が廃寺になると専念寺に遷され、明治時代に北海道函館市に本願寺別院が創建された際、御告げにより本願寺別院に遷されました。
現在の専念寺本堂は江戸時代中期の享保12年(1727)に火災により焼失した後の享保14年(1729)に再建されたもので木造平屋建て、切妻、銅板葺、平入、桁行7間、梁間6間、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ。鐘楼は切妻、銅板葺、高欄付、袴腰。参道には「うなり石」と呼ばれる大きな石があり、伝承によると、この大石は毎晩「ウォーウォー」と唸り声をあげた事から奈良井宿の住民が気味悪がり、釘を何本も打ち付けものの、鳴り止まず、ならばと酒をたっぷりと大石に浴びせると、全く唸り声をあげる事が無くなったと伝えられています。境内は奈良宿の北東の高台に位置する事から町並みが一望出来名所となっています。宗派:浄土真宗真宗大谷派。本尊:阿弥陀如来。
奈良井宿・名所・見所:鎮神社・八幡宮・浄龍寺・長泉寺・大宝寺・専念寺・手塚家住宅・中村邸・徳利屋(原家)・二百地蔵・杉並木・水場・荒沢不動尊
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