雲龍寺(安曇野市)概要: 源川山雲龍寺は長野県安曇野市明科中川手に境内を構えている曹洞宗の寺院です。雲龍寺は大同2年(807)に創建されたと伝わる古寺で、天正8(1580)年に当時周辺の領主だった塔原氏が氏寺(菩提寺)として再興した寺院です。塔原氏は海野氏の一族とされ、鎌倉時代に当地に配されると地名に因み塔原氏と呼ばれるようになり、天文22年(1553)に武田家の侵攻により武田方に下ります。しかし、天正11年(1583)、海野氏などと共に上杉家に転じて小笠原家に謀反を企て事により断罪され没落しています。
雲龍寺は庇護者を失ったものの、その後も存続し元禄年間(1688〜1704年)には七堂伽藍が建ち並び1町5反余りの寺領を領していました。寺宝の1つである木造大日如来坐像(像高29.5cm、桂材、寄木造、彫眼)は文明2年(1470)に制作された古仏像で墨書から佐久郡望月に境内を構えていた月輪寺から塔原氏が雲龍寺に遷したと推定されています。
雲龍寺の本堂は明和6年(1769)に建てられたもので桁行き9間、梁間7.5間、入母屋、銅板葺き、外壁は真壁造り、白漆喰仕上げ、棟梁は小黒和田七(越後出雲崎出身)、土間、通縁の他にも八室を備えこの地方の禅宗寺院建築の中でも特に広壮な建物とされます。正面にある楼門は天明3年(1783)に建てられたもので三間一戸、入母屋、銅板葺き、八脚楼門、棟梁は曽根原安右衛門他(大町出身)、高欄の擬宝珠は鋳師田中伝三郎(松本出身)、掲げられている扁額は安右衛門と十左衛門、書は千丈大禅師(長国寺)、上層部には釈迦如来と十六羅漢が安置されています。雲龍寺本堂・楼門・木造大日如来坐像は貴重な事から安曇野市指定有形文化財に指定されています。山号:源川山。宗派:曹洞宗。本尊:大日如来。
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