長野県:歴史・観光・見所(ホーム)>塩田平(信州の鎌倉)の社寺・観光

塩田平(信州の鎌倉):社寺・観光

【塩田平・概要】−塩田平(長野県上田市)はの建立地からさほど離れていない場所信濃国分寺や国分尼寺塩田平・北向観音に位置する為、比較的早い時期から開けていたと思われます。現在、別所温泉の温泉街にある安楽寺の創建は天長年間(824〜834)と伝えられており塩田平の歴史の古さが感じ取れます。平安時代末期になると最勝光院の荘園となり開発が進んだと見られ多くの調が朝廷に献上されています。鎌倉時代に入ると塩田平には幕府の御家人、惟宗忠久(薩摩島津家の祖)が地頭として派遣し、信濃の国でも特に重要視されました。北条義政(六波羅探題北方、連署:鎌倉幕府執権の補佐役)が塩田平に入ると3代(義政・国時・俊時)に渡って塩田北条氏が支配し開発を進め、特に、社寺の保護に力を入れた為、別所三楽寺と呼ばれた長楽寺、安楽寺、常楽寺だけでなく前田寺や中禅寺、龍光院といった寺院が隆盛し全国から数多くの学僧を受け入れました。その為、塩田平は「信州の学海」とも言われ無関普門(京都:南禅寺の開祖)などの名僧も輩出しています。現在、塩田平が「信州の鎌倉」と呼ばれるのは当時の文化を継承している事が大きく、特に安楽寺八角三重塔と大法寺三重塔は国宝、前山寺三重塔、中禅寺阿弥陀堂は国指定重要文化財に指定されています。鎌倉幕府の滅亡により塩田北条氏も滅び、当時、全国的にみても文化の集積地だった塩田平も衰退しますが、各社寺は時の領主から庇護され現在でも数多くの文化財を所有して当時の繁栄を見ることが出来ます。

【別所温泉・概要】別所温泉は神話の時代に日本武尊により発見されたと伝わる古湯です。日本武尊は東国平定を完遂し、凱旋帰国する最中に当地訪れ、温泉神と思われる白髪の老人から源泉の場所を教えてもらったそうです。古くは「七苦難の湯」や「七久里の湯」と呼ばれていた事から、平安時代に清少納言が記した「枕草子」での一節にある「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」の「ななくりの湯」は別所温泉の事とも云われています。行基菩薩、又は慈覚大師円仁により、別所三楽寺と呼ばれた長楽寺、安楽寺、常楽寺の三カ寺が創建され、温泉街にある大師湯は慈覚大師円仁縁の大衆浴場として知られています。平安時代後期には信濃守とされる平維茂は別所温泉にある、北向観音を含む三楽寺、四院、六十坊を整備したとされ、温泉街の一角には維茂が葬られたと伝わる将軍塚が築かれています。鎌倉時代中期以降は塩田北条氏が開発に尽力し、安楽寺や常楽寺、北向観音は塩田北条氏の庇護となっています。塩田北条氏が鎌倉幕府滅亡と同時に運命を共にした為、庇護者を失いますが、中世は村上氏などの土豪により庇護されたと思われます。

塩田北条氏

【初代・北条義政】−北条義政は鎌倉幕府2代執権・北条義時の3男で六波羅探題北方・鎌倉幕府連署など幕府の要職を歴任した北条重時の5男として寛元(1243)元年正月3日、 又は仁治3年(1242)生まれました。当初は鎌倉幕府6代将軍宗尊親王に仕え、その後は引付衆、評定衆、二番引付頭などの幕府の要職を歴任、文永10年(1273)には叔父である北条政村が死去に伴って連署に就任しています。連署とは執権の補佐役で、身分としては副執権とも言え執権に次ぐ重職として、義政は8代執権北条時宗の片腕として、元寇などの国難に尽力しています。建治3年(1277)に隠居又は政争に破れ、領地である塩田平(荘)に戻り、当地の発展に力を注ぎ安楽寺八角三重塔の造営を行ったとも云われています。弘安4年(1282)に死去、菩提は北条氏の菩提寺である龍光院の境内に葬られています。

【2代・北条国時】−初代義政の子供とされますが生年月日は不詳、二番引付頭人や一番引付頭人などの幕府の要職を歴任し正和2年(1313)に職を辞して塩田平に隠居しています。塩田平の実績としては建長4年(1252)に北向観音の観音堂を再建し(父親である義政が1243年前後に生まれているので、年号的には矛盾があります)、建治年間(1275〜1278)には生島足島神社の社殿を造営、弘安5年(1282)には義政の菩提を弔う為に月湲和尚を招いて龍光院を創建、常楽寺には国時が幕府滅亡の危機に当地を離れる際に自ら彫刻したと伝わる木像が伝えられています。元弘元年(1331)に後醍醐天皇を中心とした鎌倉幕府討幕運動である元弘の乱が起きると、鎌倉に戻り対処しますが1333年(元弘3年・正慶2年)5月22日、鎌倉市街地が陥落すると北条高時ら幕府の中枢を担った約800人は北条氏の菩提寺である東勝寺に集まり自刃、その中の1人が国時とされます。

【3代・北条俊時】−俊時は義政の嫡男として生まれますが生年月日は不詳、評定衆や四番引付頭人など幕府の要職を歴任し1333年(元弘3年・正慶2年)5月22日に父親はじめ北条一族と共に北条氏の菩提寺である東勝寺(神奈川県鎌倉市葛西ケ谷)の境内で自刃しています。

塩田城

【塩田城】−塩田城(長野県上田市前山)は建治3年(1277)、北条義政がこの地に館を設けたのが塩田城始まりとされます。その後、国時、俊時と3代に渡って北条家が城主を歴任し居城として整備拡張されましたが、元弘3年(1333)塩田北条家は鎌倉幕府と命運を共にしています。南北朝時代に入ると、当地に配された村上氏が城主となり、城代として重臣の福沢氏を配し、戦国時代には長野県最大級の山城とも言われる程の規模に拡張されました。しかし、天文22年(1553)、武田信玄の信濃侵攻により落城、村上義清は本城である葛尾城に立て籠もり抵抗を続けましたが奮戦虚しく葛尾城も落城し、越後に落ち延びています。その後、上杉謙信の後ろ盾を得て再び村上義清が信濃の席巻し、塩田城も奪取し居城としましたが、短期間で再び武田家の侵攻を受け落城しています。信玄は、塩田城を東信濃の拠点として重要視し重臣である飯富虎昌が配され川中島の戦いなどで利用されています。天正10年(1582)に武田家が滅亡すると塩田城は利用されなくなり、天正11年(1583)に真田昌幸が上田城を築き本拠を移すと、重要性も失われ忘れられるように廃城になったと思われます。現在も郭の形状や空堀、土塁、石垣などの遺構が残され、昭和45年(1970)に長野県指定史跡に指定されています。

塩田平:観光・見所

大法寺
大法寺:塩田平・国宝
大法寺は大宝元年に文武天皇の勅願により開山した古寺です。元弘3年に建てられた三重塔は「見返りの塔」との別称があるほどの名作で国宝に指定されています。
安楽寺
安楽寺:別所温泉・国宝
安楽寺は天平年間に行基が開山したと伝わる古寺で平維茂や執権北条氏、塩田北条氏などから庇護され信州の中心的な寺院として発展。八角三重塔は国宝です。
常楽寺
別所温泉:常楽寺
常楽寺は天平年間に行基が開山したと伝わる古寺で北向観音の本坊としても知られています。鎌倉時代は塩田北条氏の庇護により「信州の学海」との別称がありました。
北向観音
別所温泉:北向観音
北向観音は天長2年に慈覚大師円仁が創建。善光寺と北向きに向き合っている事から「北向観音」と呼ばれ、鎌倉時代には塩田国時が堂宇を再建しています。
中禅寺
長野県上田市:中禅寺
中禅寺は天長年間、弘法大師空海が独鈷山に草庵を設け、鎌倉時代に安然坊が寺院として開山、当時に建てられた薬師堂は国指定重要文化財に指定されています。
塩野神社
長野県上田市:塩野神社
塩野神社は白鳳元年に出雲大社の御霊を独鈷山に勧請したのが創建とされます。延喜式神名帳に記載された式内社で、塩田北条氏など歴代領主から崇敬された。
龍光院
長野県上田市:龍光院
龍光院は塩田北条氏歴代の菩提寺です。龍光院の境内には初代北上義政の墓碑の他、背後の塩田城の跡地には北条国時、北条俊時父子の供養塔が建立されています。
前山寺
長野県上田市:前山寺
前山寺は弘仁年間に弘法大師空海により創建、鎌倉時代に塩田北条氏の庇護により信州四檀林に数えられるなど寺運が隆盛します。三重塔は国指定重要文化財。
生島足島神社
長野県上田市:生島足島神社
生島足島神社は諏訪大社よりも速くから創建され、名神大社に列していました。建治年間には塩田北条国時が社殿を造営するなど歴代領主から崇敬されました。
別所温泉
別所温泉:温泉街・写真
別所温泉は日本武尊が発見したと伝わる温泉で、清少納言の枕草子では「ななくりのゆ」として記載され、日本三御湯の1つ。温泉街には安楽寺や北向観音など。
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