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旧上田市立図書館概要: 旧上田市立図書館は大正4年(1915)に上田男子小学校同窓会が浄財を募り明治記念館として建てられた建物です。
大正8年(1919)に上田市が発足すると、大正12年(1923)に上田市が3千円で明治記念館を譲り受け、改めて「上田図書館」が開館しています。
昭和16年(1941)には書庫が増築され、2支所・4出張所に図書館分室を設けるなど市内の図書の充実が図られました。
その後、施設の老朽化と、狭小化にも伴い、近代化や大規模化が求められた為、新図書館の建設が計画されました。
昭和45年(1970)に旧染谷丘高等学校跡地に新図書館が開館すると、図書機能が遷された為、旧上田市立図書館は上田市役所分室として利用されました。
昭和60年(1985)に上田市民の図工美術教育に尽力し、彫塑指導者である石井鶴三の美術館が旧上田市立図書館を整備して開設されました。
石井鶴三は明治時代から昭和にかけての日本の彫刻家、版画家、洋画家で東京芸術大学名誉教授や横綱審議委員会委員などを担い、勲三等旭日中綬章受章しています。
石井鶴三は上田彫塑研究会の講師を46年に渡って務め、これがきっかけとなり、長野県内で様々な彫刻や絵画の講師、美術関係の審査員などを務めています。
石井鶴三美術館は上田地域の彫刻の講習会で講師を務めた芸術家の様々な作品が展示されていた事から、貴重な存在でしたが、平成20年(2008)に施設の耐震性の問題などから作品や資料などは小県上田教育会館の二階へ遷されています。
その後、市民団体が上田市から旧上田市立図書館を借り受けて「蚕都上田館」が開館し、学習会や交流イベント、展覧会などの会場として利用されましたが、平成27年(2015)に耐震性の問題などから閉館となっています。
旧上田市立図書館は木造2階建て、マンサード風屋根、金属板葺きの建物で、1階209.07u、2階143.8u、ドイツ風アール・ヌーヴォーの流れを汲んだ意匠が見られます。
正面屋根はセグメンタルペディメント風の櫛形破風とし、玄関廻りは外壁面より前に張り出し仕上げを変える事で建物全体の正面性を高めています。
外壁は下見板張りですが縦長の窓を採用し、1・2階の窓の位置をそろえ、隙間部分の壁の仕上げを変えることで垂直性を強調しています。
旧上田市立図書館は大正時代に建てられた近代建築の遺構として貴重な事から平成5年(1993)に上田市指定有形文化財に指定されています。
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